何年か前にお花の大作を活けたので、藤の木を業者の方に頼んで切ってもらった。山の近くで農作業をしている方に「この山の持ち主は誰か」、と聞いた。「さあ、大阪に住んでると言うが、ちっとも来てないし、藤の木は邪魔モノだから、切っても良いんじゃない」という事で、大きな木を何本もきってもらった。藤は、根のあたりから3メートルくらい、もっとあったと思うが、とにかく途中を切って落とした訳だ。青々と葉の付いたものであった。使用するのは幹の部分だけ。大きな地球に見立てた代物が出来た。
その後、私が気にしたのは、途中を切られて、残った藤の木の葉はどうなっただろうか。山のすそを枯れた葉が無残な姿をさらしていないだろうかと。気にしながら近くの道路を何回も通ってみた。ところが、目に付く枯れ葉は一切無い。美事に青々とした藤が茂っている。
うーん、これが藤の恐ろしいところである。とりついた木から養分を貰って、自分の根が切られても平気なんだ。
昔、薪をこしらえに山へ行っていた頃、藤りの木が生えてくると目の敵にして切ったものだ。だが今は、誰も山行きをしない。高速道路を走っても、6月には美事な藤の花にお目に掛かる事が出来る。あっちでも、こっちでも。とりつかれた木は枯れてしまうのに、、、。
今日は、庭の草弾きをした。この小さな庭でも、藤ではないが、蔓性の木が生えていて、紅葉や、槙にまつわりついていた。手入れをおろそかにするとこれが蔓延して庭木を枯らしてしまう。心しなければ、、。