今日は 姑の命日

あの年、姑は忙しい3月15日までを避けて、やっと申告の終わった26日未明に旅だった。

そういえば3月25日、あの年はすでに調査が始まっていた。ある事業所の調査の立ち合いに行っていた。お昼帰って見るとどうも姑の調子がおかしい。急遽、調査の立ち合いを断って、かかりつけの医師に往診を頼んだ。その朝、姑は歩いて食堂まで出てきた。味噌汁をすすっただけで「もういらん」と言った。気丈な姑だった。虫が知らせるとはこのことか。妹2人が何も言わないのにやってきた。おしっこをさせるために立ち上がらせようとすると、だらりと私にもたれかかってきた。ああ、立たれないの。それならおむつあてましょう。とおむつをしたが、おしっこは全然していないままだった。

降る雨の 音さえもなく 池の面 ただ小さき輪の 重なりてゆく 

静かな春のことだった。