あるお客様に伺うと「うーわんわん」と毎回吠えられる。大きくないけれど「うーワンワン」と飛んでこられると一寸怖い。そこでノックをして、「こんにちわ」と言う。奥様が犬の名を呼んで「だめよ!」なんて言ってくださって、「うーー」と言いつつもしばらくするとおとなしくなる。これが何年ぐらい続いたかしら。一向に慣れてくれなくて、何時伺っても「うーわんわん」だった。
それが先日も、外から「こんにちは」と言っても一向に犬の声がしない。「今日はどこへ行ってるの」と聞くと「死んでしもてん」と言う。「年も行ってたから」と言うと「いいや、交通事故で」いつも大変かわいがっておられたのに。でも仕方ない。もう犬は飼わない。と言っておられた。考えてみれば、ワンワン吠えられたのもいい思い出かもしれない。
