-宝殿駅で

二日続けて大阪行だった。宝殿駅で改札からエレベーターでプラットホームへと横着を考えた。その時一人の女性が白い杖を突いてエレベーターに乗ろうとした。あっ目が不自由なんだと思って、どうぞとエレベーターの中へ誘い込んだ。一緒にプラットホームへ降り、一緒に並んで電車を待った。電車が来たとき、一寸手を引いてあげた。「隙間が大分空いてますよ」と教えた。彼女は杖で広さを確認して乗り込んだ。空いていたので一緒に並んで座った。「どちらまで」と聞いた。加古川東までとおっしゃる。私は加古川で新快速に乗るので加古川東までお供は出来ない。向かいの席の人に聞いた。「どちらまで」その方は加古川で降りるとか。もう一人通路の向こうの席の男性に声をかけた。「どちらまで」彼は加古川では降りないそうだった。「それでは、この方、加古川東までだそうですので、介助をお願いします」と頼んだ。彼は大きくうなづいて「了解」と言った。彼女は小さな声で、ありがとうございます、と言った。たったそれだけのことなんだけど、ちょっと良いことをしたかしら。